崖の中に建つ三佛寺・投入堂
急斜面をわらじで登ってゆく参拝道
法力により岩屋に投げられた伝説を持つ投入堂 仏像ファンに衝撃のプロジェクト、みうらじゅん×イSム。今回は、そのプロ ジェクトのモチーフである蔵王権現を擁す三徳山 三佛寺をご紹介します。 その神秘的とさえ呼べる不思議な外観は、テレビや書籍で一度は目にした方 も多いはず。この投入堂(なげいれどう)は、役行者(えんのぎょうじゃ。役小角と も)が、法力で岩屋に投げ入れたという伝説が残る、神社本殿形式としては我 が国最古の建築のひとつで、投入堂のある三徳山は、山岳信仰により修験道 の修業の場として古来より栄え、伝承によれば周辺には3,000にものぼる寺 院があったと言われています。日本に根付く自然信仰と仏教とが結びついた 日本独自の「神仏習合」、その象徴的な遺産のひとつがこの三徳山なのです。
古代から受け継ぐストイックなポリシーを貫く“修験道の山” この山岳信仰の記念碑的な場を護るのが三徳山 三佛寺です。警察からの強 い指導があっても頑なに開山当時の伝統を守ってきた経緯から、例えば参道 にも滑落防止フェンスなども設けていません。このため、積雪のある冬季はもち ろん、雨天・荒天時にも参拝登山はできません。観光地ではなく、あくまでも修業 の場であるという一貫したポリシーのもと、“修験道の山”としての存続を選ん だ三佛寺。そのストイックな寺院の姿勢が厳しくも神聖な雰囲気をつくり出し、 多くの人を惹きつけているのです。